「新幹線は蕨から生まれた」とされる埼玉版の記事に目がいった。昨年の機まつりを見て以来、この日本一小さい市に潜むオリジンに大いに興味が湧き、再訪の機会を窺っていた。「蕨駅開業120周年わらてつまつりにて講演」と記事は結んでいる。行ってみるか。
「東口でもなんかやってた気がする」とわらんちゅが言うので降りてみる。朝顔市と露店が少々。
同じ道を通らないのを街歩きのモットーとしているのでさらに行くと、閑散とした公園にヤギとウサギの移動動物園。モヤモヤしてるな。
南寄りの陸橋渡って西口下りるとATカートなるトロッコ試乗会。僅か数メートル往復するだけだが、ここで乗らなきゃ多分一生乗る機会はない。親子連ればかりのとこにオッサン一人だけ。後から知ったが、この敷地は住友セメントの引き込み線跡とのこと。
蕨市立文化センターくるる前でわらじろうがお出迎え。
1FにはNゲージのレイアウト。お子ちゃま狂喜乱舞。
3Fホールには年配がイッパイ。蕨に本社のある模型メーカー、有井製作所社長の「模型の好きな人に悪い人はいない」の発言に会場拍手喝采。記念講演会「世界最初の新幹線電車が生まれた町・蕨」では、鉄道にまつわる興味深いエピソードが披露され時の経つのも忘れるほど。
巨大な芝園団地が日本車両蕨製作所の跡地とは初めて知った。ここで日本が世界に誇る新幹線が生まれたことも。’72年に閉鎖されて愛知の豊川工場に統合された後も、豊川蕨製作所と命名されたくだりにはひとしお感じ入った。あまり派手さのないイベントだったが、この記念講演でグッとわらてつまつりに厚みが出た。
日本車両の工場跡を散策してみる。工場への引き込み線跡が残っているというので撮影をしていると、見慣れぬ列車が現れた。かつては考えられない東武電車の相互乗り入れ、スペーシアだ。引き込み線跡を走る流線型の列車に、未来の希望へ駆け抜けた0系新幹線を見た気がした。