2014年 01月 03日
小さな車 大きな未来
ハスラーは顔がいい。大きな丸目が特徴だ。70年代までのヘッドランプは統一規格の丸型しかなく、差別化するにはべゼルの意匠に工夫を凝らすしかなかったのだが、それが車の表情に個性を与えていた。樹脂によりデザインの自由度が広がったものの、コストダウンのためにポジションランプやウインカーを一体化したため、無個性で無機的な顔ばかりになった。個性を出すべくヘンに凝ったり、LED使っていじくりまわすものだから、ますます奇異な表情になり愛着が持てない。個人的には丸目ライト、特に1950年代の商用車にとても愛着を覚える。ハスラーのデザイナーもこの辺りにシンパシーを感じたのではなかろうか。
ハスラーのフォルムもいい。近ごろは余計なプレスラインを入れるのが流行りだが、時代が過ぎればきっと陳腐化する。シンプルな面でまとめたカタチは、かつて軽自動車に蔓延していた「オンナコドモ」デザインに一石を投じたワゴン Rを彷彿させる潔さだ。立派に見せようとイカツイ顔の獅子舞みたいなライバルを一気に陳腐化させる勢いがある。ジムニー、アルトワークス、カプチーノ…軽のスズキだからこそ造れる魅力がある。
「世論もへったくれもなしに決めてしまう腕力を、初めて経験した」
「どう考えても弱い者いじめだ。(増税なら)ダイヤモンドのような高級品にかけたほうがよほどいい」
先に決定した軽自動車税増税に対して、名物スズキ社長は怒り心頭だ。
「心の中は燃えちぎっている。どこかで恨みを晴らしたい」
クラウンも軽も作る手間は変わらないのにあんなに高く売っている、と喝破した社長のことだ、意地でも軽の枠であっと言わせる魅力的な車を作りだすだろう。
ライバルはS660やコペンといった軽スポーツカーの販売を予定している。ジウジアーロがデザインしたというかつてのフロンテクーペにアルトワークスの動力性能をもったスポーツカーなんてどうだろう?
ハスラーの魅力は軽の枠を超えて「大きな未来」を期待させるのだ。