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ミニカー莫迦 ホンダ プレリュード

佇むプレリュード。
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やってきたオジさん達はもう出来上がっていた。旧知の仲が集まり会費制にして、幹事が決めた街のいろいろな飲み屋を紹介して歩いているという。ここに白羽の矢を立てて頂いたのは光栄だが、すでに三軒目ということで随分と賑やかだ。
「なんでMATCHBOXっていうの?」と一人が尋ねた。常連なら知っている由来を話すと、出来上がっている仲間をよそにしげしげとミニカーを眺めてから「ホンダ、プレリュードはありますか?」と彼は言った。

「大ヒットした二代目をさらに低く伸びやかにした三代目プレリュードは世界初の機械式4WS搭載車。FFでありながらWウィシュボーンを採用したのは本田ならでは…」と、言うことがツウだ。若手の常連は4WSに感心している。そんなに詳しいのも、かつてオーナーだったからとのこと。ずいぶん気に入って長く乗っていたが、生活が変わってワゴンに乗り換えたという。よくある話だ。
手元にあったカタログを披露すると、ああ、これだと眺めては懐かしんでいる。「手放さなけりゃよかったな…」と彼は呟いた。

ちょっと考えてから、プレリュードを見たいか?と尋ねてみた。ここからそう遠くないところにずうっと置いてあるのを知っているのだ。「是非見たい」と彼は言うので、簡単な地図を書いて渡した。幹事は地元出身だから、すぐに場所は分かるだろう。予定が狂う、と幹事はボヤいていたが、彼の意志は固そうだ。

プレリュードのことを教えるのにちょっと考えたのは、そこにずうっと置いてある理由を聞いたことがあるからだ。それは言わないけれど、見かけるたびに少し切ない気持ちになる。物がそこにある、とりわけ自動車のような感情が移入するものは何かしら訳があるものだ。クルマはただの工業製品に過ぎないけれど、想いを寄せる人がいる。それを知らぬか、プレリュードは今もそこに佇んでいる。

すっかり上機嫌のオジさん達は、次の店へと出掛けて行った。
静かに佇むプレリュードに、彼は会いに行っただろうか?







by match_boxes | 2016-02-13 18:20 | ミニカー莫迦 | Comments(0)

小箱なバーの毎日

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