2011年 11月 29日
結構なお点前で。
行き違いで一人茶席に臨む。常連女子がサクくおいでおいでするので一安心。茶を点てる女子のほかに、頭丸めた坊さんみたいな亭主が現れて益々興味津々。正客は場馴れしていて、亭主とのやり取りをほお、と分からないながらも聞いてると菓子が配られる。次客の女性の所作を観察すると、懐紙をサッと出して練り菓子を小分けし素早く平らげた。ん?茶を飲みながら食わんのか?懐紙の扱いも次客を参考にして内ポケットにしまう。普段にない流れに大いに興味をそそぐ。花瓶、活けられた花、掛け軸、の説明を聞きつつ、お茶をいただく。要領分からず、三々九度のように飲み干す。やったことないけど。これまた次客をマネして茶碗を愛でる。やらないよなァこれも。器に興味がないってのも無粋だなァ。一連の流れが終わるころに亭主が茶道具の説明。「…茶筅、茶杓を竹として、床の間と合わせて松竹梅としております」みたいなこといって場を収める。なるほどねエ。
お隣でもどうぞ、とお呼ばれしたのでもう一席。常連女子や遅れてきた和服男も加わって場が和む。気持ちに余裕が出てくると、眺めるものが増す。茶を持って来る女性の所作とか、着物の柄とか、亭主と正客がどんなやり取りをするかとか。でも、まんじゅうをご丁寧に小分けしようとしたらくっついちゃって四苦八苦、さっきの次客が「まんじゅうは手掴みでいいんですよ」。早く言ってよ。
さっぱりとした空間で、僅かなアイテムを仄々と語る亭主と正客のやり取りは、酒の席でガナる日常には妙に心地よい。知らない世界をたまにつまみ食いするのも、なかなかいいもんだ。結構な御点前でした。