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忘れていた音楽

夏のフェスはしんどい。炎天下のマリンスタジアムなんか飲食禁止で冷たいビールも飲めやしない。今年のサマソニはパス、だったが、前夜祭があるという。インドア・イベントだしエレクトロニカが多そうなんで、WIREが開催されない今夏はソニックマニアでオールナイト、に乗った。

スタートはコンピュータミュージックの先駆で大御所のクラフトワークと今を時めく和製テクノポップの雄中田ヤスタカが同時にアクト。どっちも見たいのにどーすりゃいい?ま、クラフトワークはノレないから、まず半分見たらカプセルに移動するか。

照明が落ちて、♪ポワ~ン、ポワ~ンという例の音がしてくると、やっぱ昔さんざん聴いたクチ、胸が高鳴る。奇抜な衣装でメンバーが現れると口々に「本物だ~」との囁きが広がる。オレも思わず口に出した。「本物だ…」じ~ん…。
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クラフトワークは異端だった。シンプルで単調で、なにかほの暗い。坦々と繰り返される僅かな歌詞は、ドイツ国防軍の兵士が膝を曲げずに一糸乱れず行進する様を思わせる。奇妙な出で立ちとパフォーマンスにキワモノ感は拭えなかった。聴いていて楽しい気分にはまるでなれなかったが、折に付け「トランス…ユアラップ…エクスプレス…」とか口ずさんでしまうから、このゲルマンの音に洗脳されていたのかもしれぬ…。

愛想のない楽曲が演じられる。音はちっとも変わらないのに、3DCGとの連動で新たな魅力を映し出す。宇宙空間の3Dとクラフトワークの楽曲に観客は魅了されている。これは総合芸術だ。
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このままクラフトワークのステージを見ていたいのだが、隣のブースではヤスタカがやっている。やっぱ、見てみたいじゃん。人ゴミ掻き分けカプセルの会場へ行ってみると、観客は踊り狂っていた。高い場所のDJブースではヤスタカとコシコが会場沸かすのに懸命だ。…なんだか、髪振り乱して踊り狂う大群にちょっと冷めてしまった。こーゆーのって、いまやどこでも聴けるよな…。

10分と聴かずにクラフトワークに戻ると、RadioActivityをパフォーマンス中。
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発表されたのは1975年。意味がよくわからなかったが、震災を経て追加された歌詞によって、この曲の重みが増した。こういうことを当時から発信していたのか…一貫して変わらない独自性は、大きなメッセージを唱えてクラフトワークの存在を確固たるものにしている。キワモノでは全然なかった。緊張感のあるステージを、客はまったく踊らずにじいっと聴き入っている。そうだった…電子音楽が躍るためのテクノとは全く違うものだったのを思い出した…。
by match_boxes | 2014-08-15 23:55 | 雑記 | Comments(0)

小箱なバーの毎日

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