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マツダルーチェAP 1972(バンダイ 1/20) ーいにしえ模型ー

寂しい町だった。国道から外れて田園をやや走ると、まばらに商店が並ぶ通りに出た。車から降りて、まっすぐな道を歩く。昼間だというのに、人影はなかった。通りの突き当たりに鳥居が見えて、ここは参道だということに気付く。戸締めした商店が、賑やかだった時代の名残りを囁いている。
こぶりながらも、神社は歴史ある格式の高いものだった。境内の奥には屋敷林が鬱蒼と茂り陽射しはなかったが、しんと静謐な空気に心が癒された。
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参道を戻ると、傍らの万屋に目がいった。菓子が並ぶショウケースの上に、ガラスケースに飾られた模型がある。車の模型が八つぐらい並んでいただろうか。どれも素組みで埃が被り、部品が取れたりしていた。バンダイのポルシェ914、ロータスヨーロッパ…どれもが1/20の絶版だ。

店に入ると奥からおばさんが出てきた。これを譲ってもらえないか、と聞くと「これは息子が作ったものだからねえ…こっちにいくつかあるわよ」
見れば、缶詰や洗剤の棚に模型が並べてあり、目を疑った。オオタキの1/16アルファロメオ33、ミウラ、バンダイ1/20アルピーヌ、そしてルーチェのハードトップ…
「前に置いていたのよ、もう誰も買わないわ」一体どういうルートで仕入れたのか、片手間に置くにはマニアックすぎる。スーパーカーブームで模型がよく売れた頃、業者が旧品を格安で紹介したのかもしれぬ。ゆえに似つかわしくないところに眠っていたのかもしれぬ。

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バンダイのルーチェは金型改修された後期型、しかもラリー仕様というあり得ない設定。二代目のルーチェはアクが強くてバタ臭い前期型が好きだったので、技量もないのに強引に改造した。披露するのも恥ずかしい出来だが、思い出深い模型なので特に記しておこう。
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ルーチェを組み立ててからは30年近い月日が流れた。今にすれば出来は大したことはなかったが、内装の再現など目を見張る。オールドア開閉の模型など、これから先出て来ることはないだろう。

かの神社はアニメの影響で、初詣客が氷川神社に次いで県下第2位にとなる盛況ぶりだそうだ。まるで夢のような話だが、ルーチェを眺めると閑散とした参道の光景を思い出す。



























by match_boxes | 2017-03-17 11:51 | いにしえ模型 | Comments(0)

小箱なバーの毎日

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