CheZoom By Boyd 1992 (Testor 1/25) ーいにしえ模型ー

音楽を聴くのが好きだ。熱烈なファンのアーティストはいないけど、気持ちいい曲とか好きだねえ。ラジカセなる利器を手に入れた中学高校時代はもっぱらエアチェック。邦楽洋楽ジャズクラシック、暇さえあればなんでも録音して気に入った曲は何度も聴き返した。好きなフレーズがあれば、ラジカセ二台を向かい合わせて連続ダビングなんかしてた。とにかく音楽を聴き倒していたから、ドレミファドンのスーパーイントロ当てクイズなんてちょろいもんだった。

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どんなことでも、入れ込んだ者にしかわからないことがある。熱中して努力して新境地に踏み込んでもなお、手のとどかない地平。遅かれ早かれ熱が冷め、到達できない地平から踵を返して、まあこんなもんさ、と別の道を歩んで行くのがほとんどではなかろうか。
だがごくごく稀に、冷めない情熱の塊が誰もが嘆息する地平を見せてくれる。それを見ることができただけでも、幸運なことだ。


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カスタムカーは自動車の魅力にドップリ浸かってしまった者が作り上げる作品だ。膨大な資本と人材と蓄積された技術で生み出される最新型が最良であるにもかかわらず、自らの手で理想の一台を作り上げる。知識と技術とセンスと根性で埋もれた原石を輝かせる。眩いばかりの光が新たな地平を照らす。


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大袈裟ではなく、初めてシェズームを目にしたときの心持ちだ。57”ベル・エアというアイドルをチョップ、チャネリングしてペイントしただけでは成立しない。今に至るまでに散らばった自動車の魅力という鱗を丹念に拾い集め、ベル・エアに振りまいたとき、テールフィンがまったく新しい地平に羽ばたいた。


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ボイド・コディントンは有能なカービルダーでありサプライヤーだった。シェズームが履いたボイド・ニンジャをはじめとするホイル、パーツは一世を風靡し90年代のカスタムカーを彩った。しかし、その後の景気悪化によりボイド社は倒産、ボイド自身もこの世を去ってしまった。


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ムーンアイズで手に入れたシェズームのキット。内装のないスナップモデルだったがそこは惚れたシェズーム。内装を作り、同じくテスターのオールズモビルにあったメタルホイールを磨き出してスワップ。出会ったときの衝撃を組み上げた。


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音楽はいまや指先ひとつでどんなジャンルも聴くことができ、あろうことかDJやラッパーにサンプリングされたフレーズは音楽の一ジャンルとして定着した。ラジカセ使った連続ダビングを飽きずにやっていたら、新しい地平を見ることができただろうか?
けれど、車への憧れを抱き続けていたことで、不世出のビルダーが作り上げた地平を見ることができたのは幸運だった。






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by match_boxes | 2018-12-27 12:27 | 1/24 モデルカーズ | Comments(0)

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