12月24日。年の瀬の一大風物、クリスマスが一番盛り上がるイブである。街にはクリスマスソングが流れ、イルミネーションがきらめく。
教室の大掃除を済ませて二学期の終業式が終われば冬休み突入の小学校二年生。今では考えられないが、二週間の冬休みはひどく短く感じられた。それでも初日はクリスマスイブ。その日の意味なんか知らないが、スーパーのチキンとシャンメリーとデコレーションケーキがうれしかった。
ケーキを食べ終えて、挿してあった赤い丸の玉がついたモミの木と頭が溶けたサンタクロースを大事に眺めていると、親がピアノの上から小さな包みを取り出した。クリスマスプレゼント。包みを開けるとマッチボックスのギフトセット。大きなカートランスポーターと、カラフルな乗用車が5台も入っている!いつも一つしか買ってもらえないのに‼︎
乗用車はたしか、フォードゾディアック、ワーゲン1600、シルバーシャドウ、ミニ、イソグリフォだった気がする(違ったか?)。そしてダフのトランスポーター。ローダーを上げ下げすると伸び縮みする油圧シリンダー。その迫力に息をのんだ。
遊んでいるうち散逸してしまったプレゼントのミニカーは、社会人になってからポツポツ単品を探して買い揃えた。乗用車はしまいこんでしまったので、ダフのトランスポーターだけ出してきた。思えばあの恍惚が、その後の人生を決定づけたのかもしれない。
その後のクリスマスは、恋人がサンタクロースだったり、ロッジで待つクリスマスだったり、カラオケ屋だったり、そしてその名を冠したマッチ・ボックスだったりした。そして平成最後の2018年は、店で客を待つクリスマス。
多くの人が思い出を刻み、また思い起こすクリスマス。
どんなふうに過ごしているのか知らねど、今年も無事に過ごせた幸運に、メリークリスマス。
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